平成28年度冬季ワークショップ報告
2016年度北海道アダプテッド・スポーツ研究会冬季ワークショップ 報告 最終.pdf


平成28年度 北海道アダプテッド・スポーツ研究会冬季ワークショップ

 主 催:北海道アダプテッド・スポーツ研究会
共 催:北海道社会福祉事業団福祉村
後 援:北海道障がい者スポーツ協会
日 時:201724日(土)11:0016:30
会 場:北海道社会福祉事業団福祉村

 

(福祉村HPより)

 

冬季ワークショップと題して、初めての2月開催となった研究会です。途中雪が降ることもありまし
たが比較的大きな天候不良もなく、無事に終えることができました。もう一つ初めての試みとしまして、
福祉施設での開催、ワークショップで施設利用者の皆さんにもご参加いただきました。

また、本年度の研究大会は「“アダプテッド/医療/障がい者”体育・スポーツ合同コングレスin
海道」として、全国学会と共同主催で実施いたしました。しかしながら、研究会単独の開催に関す
るお問い合わせもいただくことが多く、今回の開催に至っております。皆様の興味関心が大きいこ
とが伝わってきました。事務局の準備が十分ではなく、連絡が年度末になってしまうなどご迷惑を
おかけいたしましたが、
50名を越える参加者にお集まりいただき、盛会とすることができました。

 

 

          会場の様子             会場である福祉村さんからのご挨拶


 

基調報告1 「福祉村のスポーツ活動の歴史」

                         川瀬 宏義(北海道社会福祉事業団福祉村)

 

開会から引き続いて川瀬さんより基調報告をいただきました。福祉村はこれまでも様々なスポーツ
活動を実践している施設になります。そのような福祉村で行われてきたスポーツ活動について、貴重
な写真資料などを交えながら数十年の歴史を追って紹介していただきました。また、福祉施設は関連
する法制度の中で活動を展開していくことになるため、そうした事業と合わせたお話もいただきました。

 

 

基調報告2 「合同コングレスin北海道実施報告」

                         安井 友康(北海道教育大学札幌校)

 

20167月に本研究会も共同主催として参加した、「合同コングレス」について報告をいただきま
した。日本のアダプテッド・スポーツ、障がい者スポーツの関係団体が北海道に集まっただけではな
く、国際的にも有名な方を海外からお呼びし、これからのスポーツを考えていく貴重な機会であった
ことが伝わってきました。

 





ワークショップ

  ワークショップでは2グループに分かれ、屋外でのスキー体験、体育館でのスポーツ体験を交互
に行いました。今回初めて冬季スポーツに関する体験として、福祉村の広大な敷地にある歩くスキー
のコースを利用者さんと一緒に回りました。シットスキーでは、普段なかなか体験できない腕だけで
進んでいくシットスキーの難しさを体験していただけたと思います。かなりの腕力を必要とすること
を体感し、すいすいと進んでいく利用者さんのすごさを感じたのではないでしょうか。学生参加者は
丘に上り、滑り降りる体験などもしていました。また、歩行器型のスキーなど施設において様々に工
夫された用具にも触れることができました。利用者の皆さんに見本を見せていただきながら、一緒に
様々なスポーツを体験し、交流や経験を深めることができました。
 
  

  シットスキー          歩行器型スキー       片麻痺の方

 

学生参加者は丘の上からシットスキーで滑走し、スピード感を味わう

  

福祉村利用者さんとのスポーツ交流体験(左:ボッチャ  右:フライングディスク)

 

電動車椅子の乗車体験            車椅子バスケットボール

 

  

 

実践/研究報告

 

「うらかわ乗馬療育ネットワークの取り組み」

今村理恵(乗馬療育インストラクター研修生)

 団体で行われている活動内容の紹介から、障がいの有無関係なく参加できる乗馬や関連した活動、
そこから派生していく地域・社会的な効果についてもお話いただきました。馬車の開発やアクティビ
ティなど幅広く興味深いお話でした。また研修生の立場から感じたことについてもお話頂きました。

 

 

         今村氏                     武田氏

 

「みんなで走ろう『トリム&ラン』!」

武田功(さっぽろトリム&ラン/えにわ花トリム&ラン実行委員)

 初めて「トリム」について聞く人も多かったようですが、障がいの有無に関係なく参加できるスポ
ーツのあり方として、まさに、マラソンをアダプトした活動についてお話いただきました。映像など
を交えながら報告いただき、さまざまなスポーツに取り組んでいくきっかけとなるスポーツ大会とし
て今後も注目していきたいと思います。

 

 

「精神障害者スポーツの現状と背景」

井上誠士郎(北海道精神障害者スポーツサポーターズクラブ代表 /石金病院ほか)

 精神障がいに関する現状やスポーツの現状についてわかりやすくお話いただきました。見た目では
わかりづらい精神障がいの現状や課題があるなかで、地域でスポーツを楽しむことができる活動を広
げていく必要性を改めて感じました。ソーシャルフットボール(サッカー・フットサル)について、
国際大会や北海道における取組もご紹介いただきました。

 

         井上氏                      斎藤氏

 

「『北海道における車いすフェンシング』実践報告」

齋藤肇(NPO法人日本車いすフェンシング協会)

 車いすフェンシングのルールや用具の現状、歴史などについて映像を交えながら詳細にお話いただ
きました。日本での活動は歴史的に長い一方で、北海道では
2015年が初めての上陸であるなど、普及
の現状や課題についても語られました。世界で活躍できる選手が生まれるよう北海道からもぜひ盛り
上げていければと思います。

 

「サイボーグのオリンピック『サイバスロン』~最新技術で世界に挑む~」

猪飼嘉司(チームパラマウントアドベンチャー)

 スイスで行われた義肢における世界大会に参加したご本人から貴重なご報告をいただきました。テ
クノロジーを駆使したスポーツ大会について興味深い内容でした。スポーツへの「参加」を考えたと
き、その様々なあり方について考えさせられる内容でした。また、医療との関連における倫理面等に
ついての難しさもわかりました。

          猪飼氏




懇親会

 

 本会終了後、会場にて引き続き懇親会を行いました。今回もとても多くの皆様にご参加いただき、
情報交換に花を咲かせました。会場へは車で来ている方も多かったため、アルコールは少な目でした
が、多くの食事が用意されました。ちょっと多すぎたかもしれませんが・・・。

 

 

 

 今回のワークショップは、福祉村の皆様の全面協力により、とても充実した内容で実施することが
できました。心より感謝申し上げます。

また、実際にスポーツ活動をしている利用者さんたちと交流しながら体験が行えるワークショップ
はとても良い体験になったと思います。さまざまな形でスポーツを楽しむことについて、改めて考え
るきっかけとなったワークショップではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

※次回の研究会は、いつもよりやや早い11月頃に開催を予定したいと考えております。皆様、ご予定
を空けておいていただき、ふるってご参加いただければと思います。

また、さまざまな実践や研究に関してのご報告もお待ちしております。報告を通して多くの情報交
換を進めていければ幸いです。ホームページへの掲載依頼もありましたら事務局までひと声おかけ
ください。

 

今後ともたくさんの情報交流を進められる研究会として継続していければと思いますので、皆様今
後ともご協力のほどよろしくお願いいたします。

 

(報告:近藤尚也)