2.“育ちと学びの応援ファイル「すくらむ」”とは
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これは「すくらむ」のロゴです。よく見ると、7人の人がスクラムを組んで
いる様子が星形の上に描かれているのがわかります。
「子育て」「理解」「障害の有無に関わらない」「必要に応じて活用」などが、
「すくらむ」のキーワードです。そして「すくらむ」は支援機関のものでは
なく、本人保護者のものです。「すくらむ」は相談支援ファイルなのです。
旧来の情報分散方式では、乳幼児検診、幼稚園・保育園、医療、療育機関、
学校などの情報はそこそこで保管されていたため、情報の断片が散らばって
いました。しかし相談支援ファイルは本人保護者が保有するファイルに情報が
集約されるため、情報は散逸せず、存在の統一性が維持されます。
「すくらむ」は基本情報(5様式)、支援計画(3様式)、オプションシート
(3様式+問診票など)で構成されます。ただし全様式をセットで使うのは
大変ですから、その時に必要なシートだけを使うことを推奨しています。
様式1は単なる人定情報で診断名・障害名の記載欄はありません。様式2も
幼稚園での子育て相談や近所の小児科での相談から療育センターでの相談
まで、誰もが幅広く使えるようにしています。
様式3-1も特別支援教育に限らず、すべての子どもたちに共通の情報です。
担任の先生の名前は記録しておくと有用でしょう。様式3-2は地域での活動
の記録です。様式4は母子手帳の情報を転記すればOKですが、転記しなく
ても、母子手帳と一緒に「すくらむ」を保管していれば大丈夫です。
様式5は出生時から就学前までの発育・発達の様子を一覧できるシートです。
健診毎に保健師さんと記入するとよいですね。子どもの育ちを丁寧に把握し、
子育てを応援することが大切です。1歳半の所にある点線赤丸は「すくらむ」
が提案する二種問診票(後述)で把握された状況を記入する部分です。
「やりとりやコミュニケーションの育ち問診票」は社会性の育ちを把握する
ためのものです。「子育てについて感じること、いろいろ・・・問診票」は
子育ての悩みや不安、子育てに関わる家族の状況を把握するためのものです。
これは様式6の「子ども理解シート」です。このシートを使って、子どもの
いまの様子を理解していきます。以下に続く3枚のスライドで「子ども理解
シート」を記入する際の視点をお伝えします。
様式6の記入には2つの軸があります。一つはシートの左半分(薄赤の部分)
で子どもの「よさ・できること」、もう一つは右半分(薄青の部分)で子ども
の「気になること」です。この構成を通じて、子どもの“よいところ”を最初に
捉えてもらうことを狙っています。
様式6は子どものいまのエピソードを「生活面」、「行動・性格・感情・感覚」
「学習面」(これは学齢期の場合で、就学前では「遊び」になります)、「人との
関わりやコミュニケーション・場面の理解」の4領域に整理・記入します。
最後の視点は「本人について」(薄緑の部分)と「環境について」(薄黄の部分)
です。「環境」には「~~時にできる」など、本人の特徴が出やすい条件を
含めたエピソードを、「本人」にはそれ以外の一般的な特徴を示すエピソード
を記入します。「環境」のエピソードが具体的な支援につながっていきます。
様式7はサポートマップです。できるだけシンプルに構成しており、その親子
をサポートできる人や機関についての情報を簡潔に示すだけのものです。
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様式8は個別支援計画です。本人・保護者の希望や願いと支援機関の意見を
考えつつ「取り組むべき課題」と「課題解決に活用できそうなこと」を様式6
の「気になること」と「よさ・できること」からピックアップします。そして
支援の手立てを「本人への働きかけ」と「環境調整の工夫」という観点で記入
します。そして取り組んだ後に「成果と課題」を振り返ります。
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ほくとくネット_すくらむ_02.pdf
北海道教育大学 旭川校 安達 潤