発達支援Q&A

1. 質問その11 国語の授業で困ることは?

投稿日時: 2016/08/08 itok

 Q 国語の授業でも思考がフリーズすることがありますか?

 

A 文章題の読解問題に悩む自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもは沢山います。

 日常生活において相手の気持ちを考えるのと同じように登場人物の心情を推測することは難しいからです。

 「登場人物の心情を推測しなさい」というような問題は、答えが論理的に導き出せないので、最も不得意な課題になる場合があります。

  
 例えば「たぬきさんの気持ちを答えてみよう」という問いに対し、「たぬきに聞いてみなければ分からないものを、たぬきではない自分が答えることはできない」という厳密な態度が、ASDの方々の基本スタンスのように思います。


 以前、あるASDの小学生に「たぬきの気持ちを答えてみようとあるけれど、問題の作成者は、たぬきの気持ちというよりも、たぬきの気持ちになっているあなたの気持ちを聞いているんだよ」と説明をしました。

 その子どもは「そんな事はどこにも書いていない」と言いましたが、テストの際に、実際にそのように解答したところ丸をもらえたことで、納得することができた例がありました。

 また、あるASDの中学生には大学生と一緒に、読解問題を解く練習を繰り返すことで、「人によって解答の中身が違うが、共通項があり、それを答えると正解になる」というように、解答のコツが分かるようになっていきました。

 このことは、国語の読解問題を通して、自己の考え方の普遍性と独自性を理解する、いわば自己理解を促している側面があることがわかります。